12345678910111213141516171819202122232425262728293031
個別記事の管理-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* Category : スポンサー広告
Comment : (-) * Trackback : (-) |
個別記事の管理2010-03-15 (Mon)
今日は、私が巡回している某ブログさんからいただいてきた話について。

なんでも幽霊の瓶詰がネットオークションで18万円で落札されたらしい。
いろいろなところでニュースになっていた。
これがそのニュース。
http://www.47news.jp/movie/international/post_4538/

18万! おお、それに18万払うんだ。すごっ!
気になるのは幽霊の瓶。その後どうなるんだろう。
幽霊に幸せになってもらいたいと思ったり、悪霊化して瓶から出てきちゃったりとか、妄想はつきない。
以下、妄想。

ちょっとだけ妄想の話を作ってみた。実際の落札者さまとはなんの関係もありません。
太字の部分は、某所から拝借(連絡済み)

 ノックの音がした。
 出てみると、宅急便の配達だった。先週末にオークションで落札した二本の幽霊詰めボトルが梱包された箱が今日、届いたのだ。

 荷物を受け取った女は、期待の息をはずませながら、だれもいない室内で、びりびりと箱の包装をやぶいた。
 中には、模様のないガラス製の瓶が二本。アクセサリーぐらいしか入らないような、小さな瓶に入れられた、青く透明な液体が女の手の中で揺れる。
 女は、ふっ、と押さえた笑いを洩らした。薄い唇からほんの少しだけ歯が覗く。

~~~~~
で。この後どう話を進めるかだ。
コメディにもホラーにもできるなあと、妄想。
 案1:瓶の中身はかわいい天使で、女は幸せに。
 案2:うっかり手をすべらせ、瓶が割れる。女は二つの幽霊に取りつかれホラーな展開に。
 案3:女は瓶をわざと開封し、自分の野望を叶えるため、幽霊をこき使う。
 案4:女は夫に一つを渡し、一緒に開封し中身を飲む。二人はラブラブ。実は惚れ薬。

……なんてね。みなさまはどんな妄想をしますか?

Return

スポンサーサイト
* Category : 創作物
* Comment : (7) * Trackback : (0) * |

管理人のみ閲覧できます * by -

そっかー * by 某
企画でなくて、バトンにしても良かったねぇ。

返信です * by 菜宮 雪
3/16 7:38 Iさまへ

いらっしゃいませ。
惚れ薬は夫婦にはいらん!? おお、なるほど確かにそうだわ(ー -;

> 作家様はこうやってお話を妄想・・・イヤイヤ、構想していくのかと納得~

妄想で終わることがほとんどです。文字にできて初めて作品になる。
実力ある作家さんなら、一日でショートショートにしてあげちゃうんでしょうね。
私はひたすら妄想が二転三転して、なかなか進まず。精進いたしまする。
オチのあるホラーを妄想ですか?
うんうん、幽霊ネタだからね。

> わたしゃ、荷物を「女」が受け取ったっていう時点でまず自分を捨てた恋人とその相手を呪うために取り寄せた…とか考えてしまった。

自分を捨てた恋人! 呪い! それも面白そうです。妄想ありがとうございました。
よろしければ、この続き書いてくださいね♪

3/16 10:17 某さまへ
こういうの、ちゃんとした企画にすれば、おもしろいですよね。
でも自分が主催する根性はなく……
誰かが書いているのを発見したら、こちらで紹介してもいいかな、と思っています。
バトンにしてこの先を好きなようにいろいろな人が書き足していったらおもしろいかもしれませんね。どんな話にころがっていくんだろう。
長編ネタにするなら、幽霊付き細菌パニック系を妄想してました。
地球滅亡まであと●●日とか。だめだ…ヤマト見すぎ。
コメントありがとうございました。

No title * by 羅幻徒
案5 : アロマ系ラベルを貼って女を捨てた恋人と、恋人を奪った女に送る。

 こういうのって、自分のイヤンな正確が顕著に出ますね。>そんな話しでは……。
 ソレにしても、何のためにソコまでして落札したのか、ソッチの方が気になります。

羅幻徒さまへ * by 菜宮 雪
いらっしゃいませ。

> 案5 : アロマ系ラベルを貼って女を捨てた恋人と、恋人を奪った女に送る。

おおおお! 黒い! 暗い! なかなかいい感じ(笑)
私の好みの、ドロドロ傷つけあい系の作品ができそうですね。
ぜひ、書いてくださいよ。
私もなんでこんなものに18万も払う気になるのか、首をかしげます。
どうしても欲しかったんでしょうかねえ……
これを手に入れれば世界が手に入る、みたいな感覚かも。
落札した方のその後、非常に気になるところです。
コメントありがとうございました。

妄想美味しいです * by 熊と塩
僕なら、
・開封するが幽霊は姿を出さず、瓶の中の液体はみるみる揮発していく。
・やっぱり悪戯かと落胆し、いつか忘れる。
・身の回りで不幸や不運が続き、思い出して憑かれていることを疑う。
・とうとう自身も病に倒れ、幽霊の出品者を呪いながら息絶える。
・ベンゼンを詰めただけの瓶が予想外にも高値で落札され、味を占めた出品者。
・第二弾を考えていると、差出人のない小包が届く。
・箱を開けるとあの瓶が。
・驚いて落とすと瓶は割れ、中の液体はみるみる揮発して……。
と。そうです。インチキホラーです。

熊と塩さまへ * by 菜宮 雪
いらっしゃいませ。
楽しい妄想にお付き合いいただき、ありがとうございます♪
やっぱり開封しますか!
うん、そうこなくっちゃね。

>差出人のない小包

うわぁ……なんだかホラーだぁ!
不気味なオチ。呪いの連鎖がきそう。
映画になりそうな。
インチキホラーですって? とんでもない、本格ホラーですよ。
そういえば、熊さまはホラーは得意ジャンルでしたね。
楽しい発想ありがとうございました。

個別記事の管理2009-12-25 (Fri)
今日はとてもあたたかかったですね。
それっとばかりに、少しだけ大掃除。

伏せ拍手コメ(12/25 6:44)様、年賀状できましたよ! 今日無事に出せました^^

今日はクリスマスだから、ちょっとだけ創作物をつくってみました。
少々ホラーテイストの作り話で、のんびりとした展開(当社比)ですが、よろしければ続きをお開きください。

「クリスマスの驚き」(約4500字)
追記:12/26 なろうサイトさんへ改稿版を投稿

「お先に失礼します」
「ああ、お疲れ様」
 ――ふん、結構なことだ。
 この部署の部長を務めている山本和彦は、急ぎ足で退社していく社員たちを目で送りながら、心中でつぶやいた。
 この会社は、年末年始は最も忙しい時期で、残業なしでは回って行かないのだが、若手社員たちにはそんなことは関係ないらしい。クリスマスイブの今夜、恋人と約束している者もいるようだが、それ以外の者は有志で誘い合ってクリスマスパーティーをやるらしく、皆、にこやかにタイムカードを押して出て行く。彼らからひとまわり年上で、妻がいる三十八歳の和彦は誰からも誘われていない。
 和彦は積み上げられた書類に目を通すと、ため息をもらした。ひとり残された事務所内で、自分だけが仕事をがんばっていることがばかばかしい。時計を見あげる。まだ午後六時すぎ。いつもは午後八時ぐらいまでは当たり前に残業だが、今日は引きあげようと思った。
 思い立ったらすぐに腰をあげ、事務所の戸閉まりを確認すると退社した。

 和彦は、地下鉄の駅へ向かいながら、腕時計を確認した。ちょっと早すぎる。こんなに早く帰宅することは滅多にない。どこかへ寄ろうかと思ったが、行きたいところもない。重い足を進めながら、周囲を目に映す。
ビルの谷間の通りは色とりどりのイルミネーションであふれ、平日の夜にもかかわらず人通りは多い。腕を組んだカップルもちらほらいる。ケーキ屋の前には、サンタの格好をした女の子たちが、ケーキ販売の声をかけている。
「ケーキはいかがですか。おいしいケーキですよ」
 
 ――買って帰ろうか。
 
 和彦の足が一瞬止まった。しかし、すぐに歩き出す。
 
 ――やっぱりやめておこう。誰も喜ばない。

 和彦は、妻と自分の母親の三人暮らしだったが、嫁姑戦争が絶えず、家庭は心休まる場所ではなかった。妻と母。同じマンションの部屋に住みながら、絶交状態で食事すら別になっている二人を見ると、ただでもたまっている心と体の疲労はさらに増える。女性はケーキを好きだとわかっていても、ケーキひとつぐらいで明るい食卓が戻り、何もかもうまくいくとは思えなかった。

 地下鉄を降り、自宅へ向かって歩く。妻と母が待っているマンションはすぐそこだ。気が重いまま自宅の扉を開けると、驚いた顔をした妻が出迎えてくれた。
「お帰りなさい。今日は早かったのね。珍しいわ。ちょっとびっくりしちゃった」
「仕事にならなくて早く帰って来た」
「今日は一緒に夕食を食べることができるわね。あなたはいつも遅いからつまらないもの」
 妻は、和彦のコートを受け取ると、ハンガーにかけた。
「こんなに早く帰れるなら、連絡してくれればよかったのに。もうすぐお料理できるから、ちょっとだけ待っていてね」
 妻は機嫌よく台所に立った。カウンターキッチンから広がって来る香辛料の匂い。リビングのテレビを見ながらソファに沈み込んだ和彦は、食前の缶ビールを口に流し込んだ。
「おふくろは?」
「さあ」
 冷たい妻の返事。それ以上は問えない。ほどなく妻が、料理ができたと呼んだので、和彦は食卓に着いた。
「豪華だね」
 サラダ、肉料理、スープ、数種類の揚げ物。普段よりもずっと品数は多い。いつもは一緒に食べない母親の茶碗と箸が、食卓に出されているのを見て、和彦は、おや、と思ったが、いらぬことを聞かない方がいいと思い、黙っていた。
「見て。今日はとっておきのスペアリブ。これ、煮込むのに時間がかかったのよ」
 大皿に盛り付けられた骨付き肉は、黒光りしてあぶらが程良く溶け、見るからにやわらかそうだ。
「食べてみて」
 正面に座った妻は、いつになくニコニコと和彦の顔を見ている。
「おいしいぞ。やわらかい肉だ。豚肉か?」
「うふふ、違うわ。それはね」
 妻はいたずらっぽく目を細めた。

「お母さんのお肉よ」

「なんだって!」
 和彦は思わず口を押さえた。唇が無意識に痙攣する。
「冗談でも言っていいことと、悪いことがあるぞ。おまえは俺のおふくろを殺して、俺に食べさせているのか」
「嘘だと思っているのね。それなら風呂場を見てきたら? びっくりするわよ」
「こ、殺したのか! おまえが」
「疑うならお風呂場を見ていらっしゃいよ。お母さんの死体があるかもね。ふふふふ……」
 和彦は、大慌てで風呂場へ向かった。心臓がはげしく鼓動する。これはまるで恐怖映画。風呂場には死体にされた母が――

「ああ……」
 風呂の扉を開けて、和彦は膝をついた。

「どう、あなた。お母さんの死体はあったかしら?」
 後ろからの妻の声は楽しそうだ。
「俺を脅かしたのか。死体なんかないじゃないか。おふくろはどうしたんだ。殺してどこへやった」
 普段と何も変わらない風呂場。死体はなく、血痕も見当たらない。
「あら、殺してないわよ。お母さんは生きているんですもの」
 和彦は舌打ちして立ち上がり、母親の部屋へ向かった。ノックしても返事がない。
「うふふ……」
 すぐ後ろで、また妻が笑っている。
「いないわよ、そこには。ベランダに閉じ込めてあるの」
「おまえ! なんてことするんだ。こんなに寒いのに」
 開いた母の部屋には誰もいなかった。和彦はベランダへ走る。母親の姿はそこにもない。
「ベランダにもいないじゃないか。ウソもいいかげんにしてくれ」
「絶望して飛び降りちゃったかもね」
「なに、飛び降り」
 和彦はベランダへ出て下を覗きこんだ。この部屋はマンションの六階部分にあり、下は駐車場。落ちたら助かる可能性は低い。暗い地上へ目を凝らしたが、死体らしきものは落ちていないようだ。
「またウソをついたな。どういうつもりだ。あっ、おまえ、俺を閉じ込めたな。開けろ! こら、開けるんだ。寒いだろう」
「あなた、ごめんなさいね。ちょっと帰るのが早すぎたの。今、準備が整ったら入れてあげるわ。少しだけがまんして」
 妻は微笑みと共に、カーテンをシャッと引いた。


 光が遮られたベランダに取り残された和彦は、怒りと寒さでうめき声をあげていた。しかし近所の手前、マンションのベランダで大声で騒ぐことはできない。呪いのような低い声を発しながら、妻が開けてくれるのをひたすら待った。
 妻と母は犬猿の仲。妻が母を殺したと言えば、それが現実だと思えてしまうから恐ろしい。本当に妻は母を殺していないのだろうか。さっき食べさせられた肉は、本当に母の肉ではないのか。

 ――あれはおふくろの肉……

 やわらかくておいしい骨付きの肉。うっ、と吐き気がこみあげる。もう限界だ、と思った時、中から人が話す声が聞こえてきた。
「和彦がもう帰って来ているのかい」
 母親の声だった。和彦は、安堵と脱力感を覚えながら、耳を澄ませた。
「お帰りなさい、お母さん。お買いもの、ありがとうございました。そうなんです。早くってびっくりしてしまいました。準備が間に合わなかったから、ベランダへ閉じ込めちゃった」
 妻が明るい声で笑っている様子がわかる。
「和彦はベランダにいるの? 早く入れてあげないと寒いわね」
「今、呼びます。あれの準備はできました」
 驚いたことに、あれほど仲が悪い二人が、普通の親子のように、仲良く話をしている。なんだこれは、と思っていると、カーテンが開かれてベランダへの出入り口のかぎが開けられた。
「おまえ、このやろう。よくも」
 妻は和彦の怒りをあっさり流した。
「寒かった? ごめんね。そんなに何分も待たせていないわよ。さあ、パーティーの準備ができたわ」
 妻は、サンタの赤い三角帽子をかぶっていた。ふと食卓を見ると、微笑を浮かべた母が座っていた。母親の頭にも同じ帽子が乗っている。
「お帰り、和彦」
「おふくろ……無事だったのか」
「ふふふ。和彦さんたらね、このお肉がお母さんのお肉だと信じちゃったのよ。おかしいでしょ。そんなわけないのに」
 和彦は妻を無視して、母親に訊ねた。
「さっきいなかっただろう。どこに行っていたんだ」
「どこって、下のコンビニへケーキを買いに行っただけ。今日はクリスマスイブだから、一緒に食事を作ろうってわたしが言ったら、葵さんも賛成してくれて。びっくりすると思うけど、葵さんと私、和解したの。仲直りのパーティーをしようって、二人で計画して和彦を驚かせたいと思っていたのに、こんなに早く帰って来るから準備が間に合わなかった」
「どういう風の吹きまわしだ」
「今日はめでたい日。お祝いする理由があるの、葵さんの口から言って」
 妻は、ほんの少し頬を染めた。
「あのね……あたし、赤ちゃんが出来たの」
「俺たちの子どもが!」
 和彦は、よかった、としか言葉が出て来なかった。結婚六年目。妻と母の仲がうまくいかないのは、これが大きな原因だった。和彦は不意に泣きそうな気持になり、立ちあがって妻を抱き寄せ、涙を隠した。
「よかった。本当におまえが母親になるのか。いつ生まれるんだ」
「たぶん、七月末。うれしい……」
 母親も涙ぐんでいた。
「葵さん、おめでとう。孫が早く欲しいって何度も言ってごめんね。不妊治療をがんばっていたって知らなかった。あなたたち、子どもは面倒だからいらないと言っていたでしょう? わたしはそういう考えはどうしても嫌だった。確かにね、子どもがいれば、面倒な事がいっぱい出てくる。でもね、それ以上に喜びもくれる。やっぱりわたしは和彦を産んでよかったと思っているから」
「俺は、葵の気持ちがわかっていたから、子どもはいらないとおふくろに言った。欲しくなかったわけじゃない」

 
 久しぶりになごやかな雰囲気の食事が終わり、和彦は、ほっと息をついた。母親は自室へ去り、リビングのソファで、妻と二人でゆっくりしている。
「……で、どうして俺は寒いベランダへ追い出されたんだ。サンタの帽子をかぶるぐらいなら、別に隠れなくてもいいだろう」
「それはね……ふふふ……寝室に死体を隠したかったから」
「おまえ、またそのネタか。今度は騙されない。どうしてそこで死体が出てくるのか、おまえの考えることは理解できない」
「寝室、見に行かないの?」
「おふくろは生きているんだから、誰の死体もないはずだ」
「それがねえ、ちゃんと死体があるのよ。ねえ、お願い。見に行って」
「ばかな」
「あたしとお母さんからのクリスマスプレゼントだから」
 プレゼント、と聞いて和彦はしぶしぶ寝室へ向かった。そういえば、妻と母親には何も用意していない。毎年そういう習慣はないし、今さらプレゼントを用意するのもおかしいと気にしないことに決めた。
 寝室の扉を開け、妻は得意そうに胸を張った。
「見て、あなた」
 ベッドの中には不自然な盛り上がりがある。

 和彦は急いでベッドへ駆け寄った。上ふとんをパッとめくって、全体を確かめた。
「うわ……」
「死体でしょ? これを先に用意しておきたかったから」
「……確かにシタイだな。肢体だ。ありがとう、気に入った」
 夫婦のベッドの中で寝ていたのは、和彦が大好きなアニメキャラの人型抱き枕だった。
「あたしが妊娠したから、和彦がさみしがらないようにって、お母さんが取り寄せてくれたの」
 和彦は、こみあげた笑いを必死で収めた。
「おふくろがこんなものを……まいったな……後で礼を言いに行くよ」
 

 和彦はその夜、夏に生まれる我が子を想像しながら、妻と抱き枕に挟まれ、幸福の中で眠りに落ちた。皆が笑っている家庭は室温まで普段より高く感じる。

 ――メリークリスマス。今年はあたたかい冬。
  
(了)



お目汚し、失礼しました。読んで下さりありがとうございます。

Return

* Category : 創作物
* Comment : (0) * Trackback : (0) * |
個別記事の管理2009-10-24 (Sat)
このところ、筆がにぶっているので、練習に、お題小説、というものに挑戦。
お題提供元はこちら。
連日、お題を順番にブログに上げているBさま、すごいや。あらためて尊敬します。
私は全部のお題は消化できそうにないので、選んだお題は、7番「あかるいね」

あたし小説にしてみました。一応恋愛のつもり。
読んでやってもいいよ、という方は続きへどうぞ。

「あかるいね――彼と向かい合って、それから

 プツッ、と音がして、あたしの部屋の蛍光灯が突然切れた。
「あっ」
 ソファに並んで座っていた彼と、天井を見上げる。丸い蛍光灯。そう言えば、この前から、円の一部が黒ずんでいたのを忘れていた。そろそろ切れる頃かとわかっていても、まだ使えると思い、ついそのままにして。
 暗くなった室内は、壁際で音を出しているテレビの明かりだけになった。
「蛍光灯の替え、ある?」
「たぶん」
 こういう時は、彼の背が高くて助かった。取り出してきた替えを渡すと、彼は手早く交換してくれた。
「スイッチ、入れてみて」
「うん」
 部屋に再び明るさが戻る。なんだか前よりも明るい。
「うわ~、明るいね」
 白い光が室内を満たす。想像以上の明るさに、まぶしさすら感じる。切れた蛍光灯は、かなり黒くなっていたから、やっぱりさっさと取り替えるべきだったのかもしれない。
 再びソファに彼と並んで座り、なんとなくクイズ番組を見る。ふと気がつくと、彼はテレビを見ずに、あたしの顔ばかりじっと見ていた。
「なに?」
 二人掛けソファ。すぐ横に彼。手を延ばせば届く。延ばさなくても、ちょっと体を傾ければ、肩が触れ合えるほど近くて。
 心臓が速くなり始める。まだキスすらしたことがない、付き合い始めのあたしたち。部屋に彼が上がってきたのも、今回でまだ二回目。
 そんなに見ないで。もしかして、こういう状況って、かなりやばいんじゃ……
 二人きりのあたしの部屋。
 今から、彼があたしを押し倒して、ああなって、こうなったら……どうしよう。
 彼は、黙ったままあたしの顎に手をかけた。
 ああっ、これって。これって!
 あたしの血液が急速に高温になっていく。
 きゃ~もうだめえ。あたし、このまま流されそう。
 彼が顔を近づけてくる。
 目を閉じなきゃ。こういう時って、目を閉じて待てばいいんだよね? キ……キスするんだよね? 今からあたしたち、初キス……

「……」

 目を閉じて彼の唇を待っていたあたし。

「……」

 あれ? 
 想像していた感触がいつまでも来ないので、薄く目を開く。すぐそこに彼の顔がある。
 やだっ、恥ずかしい。彼はあたしの顔に見とれている。顔が熱くなり、耳たぶまで赤く染まってしまっていることは隠せない。彼は気が付いているだろう。気絶しそうなほど、あたしが緊張していること。
 彼は、あたしの顎に手をかけたまま、ははっ、と笑った。
「おまえさ」
「ん?」
「明るい光の下でよく見るとさ……」
 あたしは、うっとりと彼の顔を見つめ返した。かわいいじゃん……って言ってくれるのかな。
「俺たちって、昼間から会ったことがなかったからさ、知らなかったけど」
 彼は、あふれてくる笑いをかみ殺すような声で言った。
「おまえの眉毛って、よく見るとつながってるんだな」

 
 ――即刻、彼を部屋から叩き出し、あたしの短い恋は終わった。
                                          (了)

 



お目汚し、失礼しました。

Return

* Category : 創作物
* Comment : (8) * Trackback : (0) * |

ありがとうございます * by 三里@出題者
 ごきげんよう。三里@出題者です。
 わー、ありがとうございます!
 そこに落とし込むのか!笑いました。楽しいお話をありがとうございます。

Re: ありがとうございます * by 菜宮 雪
三里さま

ようこそいらっしゃいました。
拙作を読んでくださり、ありがとうございます。
なかなか楽しいお題がいっぱいですね。他の方々がどんなのを作るのか楽しみです。
そちらにまたお邪魔させてくださいね。
コメントありがとうございました。

菜宮様らしいや!! * by いが
とにやにや。
いや~、おもしろかったっす、期待通り。声出して笑っちゃったよん。
やっぱ、コメディーに走りましたか。
落とす事柄は何だ?!ともう読みながらワクワク。もしかしてそばかすとか(←つか、シミとか…ううっ)鼻毛出てるとか。しかし ま、まゆげとゎっ…心当たりありまくり…( ̄ロ ̄ll)逆にびくっとするワタシ…。

でも…もしかしたらロマンチックものかも?!i-237、とか期待しちゃったぢゃん!!夢、儚く散る…
どっちが本当の菜宮様の本質だ?!

* by butapenn
わはは、ロマンチックな展開と思いきや…そう来ましたか。無神経な男ってしょうがないですねえ。
ところで、お褒めいただいてありがとうございます。でも、こういう連作のほうが、ひとつずつネタを出すより書きやすいんですよ。

Re: 菜宮様らしいや!! * by 菜宮 雪
いがさま

おもしろいと言っていただけるなんて、ありがたいです。
ロマンチックなのを期待してましたか?
中盤から濡れ場へ持ち込んでラブラブで終わってもよかったですけど、そうするとあのオチが使えなくなってしまうんでねぇ^^;
ロマンチックうふふものは、読むのは好きだけど、書くのはまだまだです。
でも、熱烈恋愛で、ギュウウ、チュウみたいなの、いつかは発表します! (決意だけ!)

> どっちが本当の菜宮様の本質だ?!

うむむ。。。自分でもわかりませぬ(滝汗)
どんなものを書くかは、すべてその日の気分で決めてまして。
なんでも書けるようになりたいです。
コメントありがとうございました。

Re: タイトルなし * by 菜宮 雪
butapennさま

拙作をお読みいただき、ありがとうございます。
作った自分でも、こんな男ってどうよっ、って思いますwww

butapennさまは、連載をいくつもかかえておられるのに、お題小説もどんどん出されて、ほんと、尊敬します。
何がすごいかって、その筆速度もですけど、アイデアが次々浮かぶことが驚きですよ。
頭の回転速度、速くなる薬をお飲みでしたら分けてくださいっ!

お越しいただき、ありがとうございました。

今更ながら読ませていただきました。 * by 熊と塩
感想はなろうの方へ書かせていただきました。

お題、良いですね。なかなかに混沌としていて。
近頃どうにも筆が(指が)重いので、僕もやってみようかな……?

Re: 今更ながら読ませていただきました。 * by 菜宮 雪
熊と塩さま

感想、ありがとうございました。
思いつきだけで書いた、深みもなんもない作品で、恥ずかしいっス。

御作、「ゴールド・ガントレッド」  http://ncode.syosetu.com/n3535g/
連載が終了したら一気読みするつもりで、ブクマしてあります。
連載終了後、感想を入れされてくださいね。

お題にご興味がおありなら、なろうサイトとは関係ないですけど、
こちらの↓なんかいかがですか。ここをご存じあるいは、別名で参加済みだったらすみません。
http://www.ss-fightclub.net/
10/30午後5時までに要エントリー。原稿提出は11/10午後6時まで。お題「覚」で4000字以内。
今現在で、参加残り枠、定員まであと7名。
私はここへ参加したことはありません。
こういうのにどんどん参加して感想をもらうというのも、書き手としてのひとつの楽しみ方ではあると思うのですが、なかなかお題に沿ったネタを思いつかなくて。
「覚」……何も出てこないから、今回参加は、私は無理!
気が向いたらどうぞ。

個別記事の管理2009-09-14 (Mon)
今日の記事は
とっても凹んでいる様子の、あの人におくりたい。

押しつけがましくてごめん……他に元気付ける方法を思いつかないから。

詩 「笑ってよ」

人は必ず死ぬから
慌てて自分で死ななくても
放っておいても いつかは絶対に死ぬんだよ
だから今日も生きてみようよ
好きなことをいっぱいやって
いっぱい笑って
あの世には 物はなんにも持っていけないけれど
今を生きて 楽しい思いをたくさん味わえばいい

はっきり言って 世の中敵だらけ
どこへ行っても 嫌なやつはちゃんと一人はいるんだよ
その上 何をやっても うまくいかないことばかり
自分はダメな人間で 
時にどうしようもなく思えて
深い心の闇に落ちる時があってもいい

でもさ
皆 そんなものでしょう?

闇から這いあがる と決めることができるのは自分だけ
泣くも笑うも 決定は自分の意思

どうせいつかは死ぬなら
谷底から脱出した方がいいと思わない?
少しでも笑っていた方がいいような気がしない?

あなたの笑顔が見たいな
笑ってよ

あなたの心の 壊れた壁を修復したい
悲しみの涙の川を この指で止めてあげたい

だって あなたが大切だから
生きているあなたが好きだから

笑ってよ わたしのために
笑ってよ 最高の笑顔で

Return

* Category : 創作物
* Comment : (0) * Trackback : (0) * |
個別記事の管理2009-07-29 (Wed)
気がつけば、カウンターが10000を超えてました。
特に、ここ10日ほどでものすごくお客さまが増え(コンテスト関係の方かな?)うれしさの冷や汗を流しております。
お越しいただき、ほんとうにありがとうございます。

感謝をこめて。
拙作「ジーク王子の寝室で、ああっ!」のエディンのその後をここで披露します。(短編、約5100字)
よろしければ、続きを開いてごらんくださいませ。このエディンの話は、本編のネタばれ含みます。
後日、HPの方へ出す予定です。(追記:さっき出しました!)

「僕、仕事やめますから」(ジーク王子の寝室でああっ、2)
 
 エディンは、廊下に入り込みはじめた朝日にほっと息をついた。先輩のドルフは、闇にまぎれるように、黒い毛布をかぶり、大理石の冷たい廊下で横になって眠っている。ジーク王子の部屋の入り口に立つ毎晩の警護は、こうして交代で仮眠を取らないと体がもたないらしい。ここの警護担当は、自分とドルフの二人しかいない、ということを知ったのは昨日だった。
 交代員がいない――そのわけはなんとなくわかった気がする。二人で守る場所に、担当が二人しかいないなら、夜の仕事休みはない。そんな事情を知ってか知らずか、城内を巡回する兵たちは、寝ているドルフの横を黙って過ぎて行く。
 やがて、遠くでカツカツと規則的に木を打ち鳴らす音が聞こえてきた。外回りの兵の交代の合図だ。エディンは交代の時間には起こすようにと、ドルフに言われていたが、もう少し眠らせておいてやろうと思った。

 ――どうせ、今夜限り。変態王子を守る仕事など、やる気にならない。ドルフが起きたら、やめる、と言おう。さっき言いそびれたから。

 エディンにとっては初めての仕事だった。夜間、ジーク王子を狙う者が侵入しないように、王子の寝室の前で、見張っているだけの単調な仕事。それでも城で採用されるには厳しい審査があり、誰でもここで働けるわけではない。胸を張って人に自慢できる職のはずだった。

 こんなに夜は長かっただろうか……エディンは何度も外へ目をやった。たった一晩で、王子を守る兵に採用された、という誇りはなくなり、すっかりくたびれてしまい、背筋を丸め、手に持っている槍が杖代わりになっている。立っているだけもつらいので、時々しゃがみこんで休憩を入れるようにした。
 ふう……しゃがみ込んでため息をつく。その拍子に、先程噛みつかれた体が、かすかな痛みを思い出し、眉を寄せた。悪夢がよみがえる。

『ああっ、ジーク様、やめさせてくださいっ』
『あははは、エディン、楽しいだろう? 顔が赤くなっているじゃないか。ニレナは最高だ。こんないい子はいない』
 ジーク王子は機嫌よく声を出して笑っている。夜の燭台に照らされる、整った王子の顔は、晴れやかで、男性から見ても、どきりとするほど魅力的だったが、エディンは見とれている余裕などない。
『ひぃっ!』
『服を脱いでもいいぞ。ニレナが噛み破ってしまう時がある。立っているのが辛いなら、この寝台に横になるか?』
 王子は穏やかな口調で、そう言い、自分が今まで横になっていた寝台を指差した。エディンは首を大きく横に振った。
『い……いえ、いいです。くっ、ジーク様、ニ……ニレナ様を早くなんとかしてください』
『ニレナの方が飽きたら、そのうちにやめてくれる。ちょっと遊ぶぐらい、かまわないだろう? 怖がる必要などない。歯を立てるのは、ニレナの愛情表現だ。それが、なんともかわいいのだ』
 ジーク王子は、ベッドに腰掛けると、立ったままくねくねと身悶えするエディンの姿に、唇を弛めていた。
『エディン、ニレナが嫌いか? そうか、エディンは黒ネズミが苦手なのだね』
『き……嫌いではなく、わぁぁあ!』
 体を伝ったかわいい手足の感触。虫に体を撫でられているようで、こそばゆい、と思って身をよじれば、いきなりガブリとやられる。しかも、肌の敏感な場所ばかりを狙われる。
『お許しを。どうか……あぅ!』
 今後、男性として生きていけないのではないかと涙が出た。

 生々しい記憶に身震いする。あのネズミはそういうふうに調教されているのかもしれない。あれに耐えられる人間が、この世界に存在するのだろうか。いや、存在する。ジーク王子、という気高き御方が。
 思い出すだけで乱れそうになる呼吸を整え、眠るドルフに目をやる。そういえば、ドルフもニレナの歓迎を受けた経験があると言っていた。それはいったいいつのことだったのか。彼も、最初は何も知らずに王子のネズミ遊びに付き合わされて……
 エディンは、大声で泣きわめくドルフを想像すると、思わず、ブッ、と一人笑いの声が出てしまった。慌てて口を手で押さえる。

 ――ドルフさん、僕、この仕事やめます。
 
 心の中でそのセリフを言う練習をした。王子に忠誠を誓う気にならない以上、ドルフが目覚めたら、仕事をやめるとはっきり言うべきだ。王子の部屋を出た直後は、自分もあまりのことに興奮しており、何も言えなかったが、今度は言いそびれないようにしよう。いい待遇の仕事だと思ったが、待遇が他の部署よりも格段に上ということは、何かあるわけで。国王はきっと、ジーク王子の秘密を知っていて、皆に口止めしているに違いない。隣国の姫との縁談も決まっている世継ぎの王子に、悪いうわさがあってはならないはずだ。
 
 長い夜がついに明け、朝日がゆっくりと昇り、辺りは徐々に昼色に変わってくる。覗き始めた光は、黒を薄め、灰色へ、そして白へと明るさを増す。窓の外からドルフの顔に日が射してきて、彼は目を覚ました。
「なんだ、もう朝か。エディン、遠慮せずに、俺を起こせばよかったんだぞ。交代しよう。この毛布を使え」
「もう朝ですから、家でゆっくり眠ります」
「そうか、俺ばかり休んですまなかった。今夜はおまえが先に休め」
「あの……僕、今日限りで」
「どうだ、楽な仕事だと思っただろう?」
 ドルフは毛布を畳みながら、エディンの言葉をさえぎって、一方的にしゃべった。
「ここの守りは、こうやって寝ていても誰も文句は言わない。一晩中神経をとがらせている城門の見張り役よりはずっと楽だ。ジーク様も俺たちには寛容。ここの仕事は、城の中では最高に楽で、しかもいい給料をもらえるんだ」
「ですが、ドルフさん、僕は」
「ああ、耳栓の作り方なら、後で教えてやろう。材料は兵舎に置いてある」
「あの、僕」
「簡単だ。すぐにできる」
 ドルフは安心させるように、目じりをさげた笑みを浮かべて見せた。エディンの視線は自然に下向きになってしまう。
「あの、僕やっぱり、この仕事――」
「耳栓がある方がいいと思っただろう? あれはな、作り方にコツがあるんだ。適度に音が聞こえて、しかも、簡単に装着できないといけないし、小さすぎるとまた、耳に入り込んで取り出せなくなる。ちょうどいい大きさに材料を切ることも大事なんだが、問題はその丸め方で」
 ドルフはエディンに口をはさむ隙を与えなかった。
「耳栓の作り方をここまで極めるまでに、どんな苦労があったと思う?」
 ドルフは、これまでの耳栓制作についての苦労話を長々と熱く語り始めた。

「――それでだな、材料は綿が一番いいと思った。俺はいろいろな形を作っては試したんだ。それで完成したのが今使っているやつなんだが、使い心地はどうだった?」
 
 ――どうでもいいです、どうせ僕はやめるのですから。
 
 そう言いかけても、熱心なドルフに申し訳なく、エディンは普通に答えてしまった。
「……とてもほどよく音が耳に入り、着けた感触もなかなかすばらしくてよく出来ていたと思います」
「わはは。そうだろう? あの綿の生地はな――」
 やがて、朝食の時間になり、王子を起こしに来る侍女と、王子と日中の行動を共にする身辺警備兵たちがやって来て、エディンとドルフのその日の仕事は終わった。
 
 ――結局、やめるって言いそびれた……
 
 兵舎へ引き上げるエディンとドルフ。すたすたと廊下歩いていくドルフに遅れないようについて行きながら、エディンは先程言いたかったことを、勇気を出して口にした。
「ドルフさん、僕、この仕事に向いていないと思うんです」
 ドルフは、長い廊下の真ん中で、一瞬だけ足を止めてエディンの顔を見たが、普通の表情のまま、またすぐに歩き出した。王城の大理石の床が二人の足音を刻む。返事をしてくれないドルフに、エディンはもう一度同じことを言うと、今度はちゃんと言葉が返ってきた。
「仕事が嫌なのか? それなら、扉の警護は俺に任せて、おまえは毎晩、ジーク様のお相手をしてもいいぞ」
「へ? お相手ってまさかジーク様は男色……」
 エディンは息を詰めて、すたすた歩いて行くドルフの顔を凝視した。ドルフはにんまりと唇を横に伸ばした。
「勘違いするな。別に俺はそんなことは言っていないぜ。ジーク様のお相手をする、と言ったら、ニレナネズミのことに決まっているだろう。おまえが望むなら、ネズミの餌食になって見せて、ジーク様を喜ばせればいいんだ」
「なっ! とんでもないです。あれはもう二度とごめんです」
「ジーク様はおさびしいのさ。同じような年齢のご友人も城内にはおられず、お話し相手は、あの黒ネズミだけだ」

 ――ドルフさん、違うんだよ。僕はやめたいんだ。仕事をやめるって言っているのに。ジーク様がさびしいとかって僕には関係ないんだよ。

 エディンは言葉を飲み込み、ドルフの話に合わせた。
「おさびしいって……そんなことはないでしょう。来年にはご結婚なさるのですから」
「おい、もっとひそひそ話さないと首が飛ぶぞ」
 ドルフは急に声を小さくした。
「まあ政略結婚だから、気が乗らないんだろう。だから、よけにイライラして変な遊びに走ってるのさ。俺はそう思うぜ。ニレナ姫の十八歳の誕生日が結婚式と決まっている。楽しみだな。おまえはどうなると思う? 姫が、あの黒ネズミのことを知ったら」
 ドルフは、ぎゃははは、と目尻にしわを作って笑った。エディンもつい、声を出して笑ってしまった。
 エディンは、隣国の王女ニレナがどんな女性なのか全く知らないが、高貴な王女が、あの黒ネズミのことを知ったらいったいどんな顔になるのだろうかと思い浮かべた。

 恋愛結婚ではないジーク王子の結婚。政略結婚――つまり、お互いに好きで好きで、というわけではなく、国のために仕方なく結婚。ある程度は性格上の嫌な面も目をつぶることができる恋愛結婚ではないのだ。麗しのジーク様が、あんな黒ネズミと裸で遊んでいることを知ったら――しかも、名前はどちらも『ニレナ』。一国の王女とネズミの名を同一にするとは無礼すぎる。どう考えても、おもしろいことになりそうだ。
 エディンはつい声がはずんでしまった。
「うわ~、それって、すごいことになりますよね? ニレナ姫が怒って結婚がうまくいかなくなるのではないでしょうか」
「わははは。おまえも、そう思うだろう? ジーク様の初夜だけは、俺は耳栓をしないぞ。楽しそうだ」
 エディンは、様々な妄想が浮かんで、ドルフと共に、にやけているうちに、兵舎に着いてしまった。

 ――しまった、また言いそびれた……

「エディン、これが耳栓の材料だ。少し分けてやるから、なくなったら自分で買えよ」
「あ、あの……僕」
「ん? 足らないって言うのか? それだけあれば当分大丈夫だぞ」
「そうですか……」
 ドルフは、紙の子袋に入れた耳栓の材料を、エディンに渡すと、さっさと着替えにかかった。兵舎で私服に着替えたら、城外の自宅へ戻り、夜になったら、また出仕する。エディンは、黙って材料を制服と一緒に自分の収納棚にしまい、ぐずぐずと着替えにかかった。

 ――耳栓なんか、しまっている場合じゃない。僕はこんな仕事は嫌だ。もういらないんだから、返さないと……

 エディンは、ドルフの横顔を見つめた。さっさと制服を畳んで、指定の箱にしまっている。どうも言いにくい。自分がやめれば、この男は一人きりであの部屋を守ることになる。でも、どうしても言わなければ。代わりの兵なんてきっといくらでもいるだろう。何も自分が犠牲になることはないのだ。
「ドルフさん、僕は」
「そうだ、言い忘れていたが、欠勤は大罪扱いだ。牢獄送りだけでなく、鞭打ちのおまけもあるからな、具合が悪くても必ず来いよ。その時は、俺が夜通し見張りをやるから、おまえはジーク様が部屋へ入ったら、すぐに毛布をかぶって眠ればいい。じゃあな。また今夜」
「あ、あの」
 さっさと兵舎を出て行ったドルフの背中は、扉の向こうに消えた。

 ――僕、やめたいんですけど……やめたいんです。絶対にやめます! あんな王子を守る仕事なんて嫌です! ……って言いたかったのに。
 
 エディンは心の叫びを出せないまま、兵舎を出てうつむきがちに自宅へ向かった。

 一方、一足先に城を出たドルフは、軽い足取りで歩きながら、にたにたと笑った。ドルフのひとり言に、すれちがう人が思わず振りかえる。
「エディンか……前のやつより長続きしそうだ。やめたいくせに、はっきり言う根性もない。あれは人に流されてだらだら続ける性格だな。ニレナ王女の話題につられて、言いたいことを出しそびれるとは、バカなやつだぜ。ぎゃははは……」

    (了)



妄想にお付き合いいただき、ありがとうございました♪
今日のところはこの辺で。

Return

* Category : 創作物
* Comment : (0) * Trackback : (0) * |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。